【特許翻訳】日⇒英トライアルを受けるポイント

フリーランスの特許翻訳者になるには、翻訳会社などが実施するトライアルを受けて合格してその会社と契約を結ぶ、という方法が一般的です。

トライアルは翻訳者のレベルを見極めるためのものですので、短時間に色々な視点から翻訳者を試すような問題になっています。

今回はトライアルを受けるときのポイントについて説明します。

Miyako
今回は日英翻訳のトライアルを受けるポイントについて説明します
目次

トライアルとは

トライアルとは、筆記試験のようなもので指定された範囲の翻訳をします。

特許翻訳の場合は、特許明細書のうち指定された一部を訳します。

フリーランスの翻訳者になる場合、トライアルは自宅で受けることが多く、1~2週間ほど期間が与えられます。

その間に翻訳を仕上げてメールなどで送信すればトライアル完了です。

トライルを受けるときのポイント

トライアルを受けるときは以下のポイントに注意しましょう。

  1. 訳抜けしていないか
  2. 誤訳していないか
  3. 指示に従っているか
  4. 基本的なルール・表現を知っているか
  5. 冗長な表現を簡潔に訳せるか
  6. 適切に補足できるか
  7. 誤記に気づけるか
  8. 内容を理解しているか
Miyako
実際に私がトライアルを受けるときに気をつけていたポイントです。

以下で詳しく説明していきます。

訳抜けしていないか

まず、訳抜けは絶対しないようにしましょう。

トライアルで出題されるのは短い文章であることがほとんどです。

その限られた範囲ですら訳抜けするようでは、実際の案件を任せてもらうことはできません。

誤訳していないか

原文の読み違いや勘違いによる誤訳ももちろん注意が必要ですが、それだけでなく出題者側があえて誤訳しやすい原文を翻訳範囲に指定してくることがあります。

  • 主述の関係があいまいな文
  • 係り受け(修飾関係)が分かりにくい文
  • 入れ子構造の文

などにはとくに注意しましょう。

指示に従っているか

トライアルを受ける際には、翻訳だけでなく、翻訳のしかたに関する指示にも注意が必要です。

たとえば、フォーマットやフォントの種類・サイズ、訳語の指定などがないか確認し、確実に反映しましょう。

実際の案件では、A4数ぺージにわたり指示があることもあります。

そのような指示にきちんと従って翻訳を仕上げられるかということがトライアルでも見られます。

基本的なルール・表現を知っているか

決まったフレーズの訳し方

特許翻訳では決まった表現がいくつかあります。

  • 本発明は~に関する
  • 本発明はこのような状況を鑑みてなされた
  • 本発明の目的は~を提供することである
  • 以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
  • 以下で説明する実施の形態は一例に過ぎず、本発明は以下の実施の形態に限られるわけではない。

などの表現はほとんどどの案件にも出てきます。

このような決まった表現を訳せるかどうかもひとつのポイントです。

クレームの訳し方

特許翻訳で一番大事な部分はクレームと呼ばれる【請求の範囲】部分の訳し方はかなり重要です。

クレームはワンセンテンス体言止めで訳す必要があります。

このようなルールを知っていて、適切に訳せるかを見られます。

サマリーの訳し方

クレームと類似した部分にサマリーと呼ばれるものがあります。

ここは基本的にはクレームと同様に訳しますが、”comprising”や”wherein”などクレームでしか使えない表現は書き換える必要があります。

時制のきまり

特許翻訳では基本的に現在形で訳します。

時間の流れを表現したい場合は、基本的に過去形ではなく現在完了を使います。

過去形は「過去はこうであった(が、現在はどうか分からない)」ニュアンスになります。

また、「実際にそれが行われた」とみなされることもあります。

そのため、たとえば実際に行われた実験などは過去形で表します。

それ以外の時間の流れは、現在完了と現在形で書き分けます。

冗長な表現を簡潔に訳せるか

一文が長い場合

日本語では一文が長いことがよくあります。

この場合は意味ごとに文を区切って訳していきます。

このとき、意味の途中でくぎらないように注意します。

とくに入れ子構造の文は抜き出す部分に気をつけましょう。

冗長な表現

冗長な表現はなるべく簡潔に訳すことを心掛けます。

  • 確認を行う⇒確認する(「~を行う」はなるべく「~する」という動詞形で訳すようにする)
  • 電流の電流値⇒電流値
  • 例えば~など⇒どちらか一方のみ訳す(for example, …, …, and the likeなどにしなくてよい(指定がある場合は別))

こういった冗長な表現は原文のまま訳さず、表現を工夫しましょう。

適切に補足できるか

原文が日本語の場合、主語や目的語が省略されていることがよくあります。

それらを適切に補足して翻訳できるかも大事なポイント。

また、場合によっては補足に関するコメントを残したほうがよい場合もあります。

それも含めてどういう対応をするか、ということが見られています。

誤記に気づけるか

あえて誤記のある部分を出題されることもあります。

誤記に気づいて指摘できるか、ということが試さられています。

翻訳する際はただ訳すだけでなく、原文に間違いがないかということも考えながら訳していきましょう。

内容を理解しているか

翻訳では全体の流れを把握して訳すことが必要です。

これは内容を理解していなければできないことです。

一文一文は正確に訳せていたとしても、読んだときに違和感があればそれは適切な訳文でありません。

正確で、かつ引っ掛かりがなく読めるように訳すことが大切です。

まとめ

トライアルは翻訳者の実力を試すために行うものであるため、翻訳者を惑わせるような文章が出題されることが多いです。

そうやって翻訳者をふるいにかけようとしていますので、『どうしてこの部分を出題したのか』『何がねらいなのか』という出題者の意図を考えましょう。

そうすることで、どう訳すべきかということが見えてくると思います。

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