英和翻訳者または和英翻訳者をめざそうと思ったとき、まず何から始めるべきでしょうか。
今回は、翻訳者を目指す方法についてお話します。
翻訳者になりたいと思ったら
私は特許専門の日英翻訳者です。
なりたいと思ったきっかけは就職活動中にふと思いついたから、というような感じでした。
正直なところ、翻訳のことはほとんど何も知らず、分野も決めていませんでした。
だからこそ、これから翻訳者をめざす方には以下の順番で進められることをおすすめします。
目指す分野を決める
翻訳には大きく分けて3つの分野があります。
- 文芸翻訳(出版翻訳)
- 実務翻訳(産業翻訳)
- 映像翻訳
このなかで一番想像がつきやすいのは文芸翻訳でしょう。
いわゆる小説や絵本などの翻訳をすることを指します。
映像翻訳もドラマやドキュメンタリーなどの映像の翻訳をすることなので、どんなことをするのかイメージはわきやすいと思います。
また、映像翻訳にはこういった映像作品のほか、会社のPR動画や研修動画などの翻訳もあります。
ただし、この2分野は割合としてはそれほど多くありません。
実は、翻訳案件の割合としては実務翻訳が圧倒的に多いです。
実務翻訳とはビジネスに関するあらゆる翻訳を指し、たとえばIT、金融、経済、法律、特許などさまざまな分野があります。
私はそのひとつ、特許分野専門の翻訳者です。
特許分野はさらにそのなかで電気、機械、IT、化学、バイオなど細かく分野が分かれており、そのうちのいくつかを専門分野として持つ人が多いです。
このように、ひとくちに実務翻訳といっても実際には細分化されていきます。
そこで、まずはおおまかにどの分野を目指すかということを決めるのが大事です。
それによって勉強のしかた、目指し方が変わってきます。
英語の勉強をする
目指す分野を決めたら、必要な英語の勉強を始めていきます。
まず、翻訳者に必要最低限の英語力の目安はTOEIC 860以上、英検準1級以上です。
これ以上の実力がある人は実績を積むほうへ進んでください。
翻訳は英語の試験ではありませんので、資格はあくまで目安です。
TOEICが満点だからといってよい翻訳ができるわけではないです。
ですので、完璧を求めすぎないで良いと思います。
そうはいっても、日英・英日翻訳をするのであればある程度英語力がなければできませんので、上記の目安を参考にまずは基礎となる英語力を身につけます。
実績を積む
ある程度英語力がついたら今度は実績を積んでいきます。
これが一番難しいところで、翻訳会社の人材募集をみたことがある人は分かると思いますが、募集要項にはたいてい「経験者のみ募集」「経験●年以上」などのような文言が入っており、未経験者を雇ってくれる会社は少ないです。
ただ、数としては少ないものの未経験者を募集している会社もありますので、辛抱強く探すしかありません。
翻訳会社で実務経験
翻訳者になるには翻訳会社で実務経験を積むのが一番です。
翻訳会社では先輩から直接指導してもらうことができるからです。
独学や通学で翻訳の勉強をするのも良いですが、やはり一番良い方法は実務で経験すること。
そして、その経験を積むときには、先輩から直接指導を受けることが翻訳の実力をつける一番効果的な方法です。
翻訳は基本的に一人での作業となるため、仕上がった訳文が自分の思考にかたより、視野が狭くなりがちです。
他の人の意見、特に経験豊富なベテラン翻訳者の意見を聞くことで、新たな視点で原文見ることができるようになり、視野が広がります。
事務所で実務経験
翻訳分野によっては翻訳会社ではなく、専門分野にあった事務所(たとえば、特許翻訳なら特許事務所など)でも経験が積めます。
この場合は、そちらで経験を積んだ方がより広く知識を身につけることができます。
翻訳だけでなく、実務の流れについても学べますし、翻訳会社には発注がされないような資料の翻訳もできるので、とても勉強になります。
実務経験を積めるところが近くにない場合は…
ただ、翻訳会社にしても特許事務所にしても企業にしても首都圏や地方の大都市にある場合がほとんどで、近くにないということも多いと思います。
その場合は未経験でも応募できる仕事に挑戦するという方法もあります。
オンラインサロン
翻訳系のオンラインサロンで有名なのはアメリアです。
未経験者が応募できる案件が多いということで最近人気のようです。
アメリアが設立されたのは2001年ですので、私が翻訳者になったころにはすでに設立されていたのですが、当時はまだオンラインサロン経由で翻訳者になる人はまわりにほとんどいませんでした。
でも、今後はこういった方法も増えていくかもしれません。
まとめ
以上、翻訳者を目指す方法についてお話しましたが、翻訳者がみんなこのような方法で翻訳者になっているわけではありません。
上記したのはあくまで一例です。
他にも、通信教育やスクールで学び、そこでチャンスをつかむ人もいますし、本業のかたわらで専門分野を活かして翻訳をしていた人が翻訳を本業にすることもあります。
また、現在の状況によっても最適な方法は変わります。
ぜひベストな方法を見つけて翻訳者を目指してください。