フリーランス翻訳者とは
まず、フリーランス翻訳者とはどういった働き方なのかというと、翻訳会社や企業と契約してお仕事を受注することになります。
この契約が雇用契約であれば会社員となりますが、フリーランス翻訳者の場合は業務委託契約を結ぶ場合が多いです。
そして、たいていの場合は複数の会社と契約を結ぶことになります。
会社によっては専業翻訳者としての契約を求められる場合もあります。その場合は会社がある程度の仕事を依頼してくれることを前提に、その会社としか仕事をしないという契約を結びます。
ですが、専業契約をしている会社は少ないため、多くの場合はリスクヘッジのために複数の会社と契約をすることになります。
何社と契約を結ぶのか
それでは実際に何社と契約をすれば安定するのでしょうか。
こればかりはそれぞれの会社からの受注量によっても変わってきますし、翻訳者の考え方によっても変わります。
以前、知り合いのベテラン翻訳者は「その会社から仕事を頂いているのだから、他の会社とも仕事したら失礼じゃない」と言って、専属契約ではないのですが、一社としか契約されていない方もいらっしゃいました。
これも考え方の一つです。この方は優秀なベテラン翻訳者で翻訳会社からの信頼も厚く、また子育ても終えられてそれほど必要に迫られて仕事をしているわけではないようでした。それで一社とのみ契約をするということにされているようです。
このように、その人の考え方や置かれている環境によっても契約する会社の数は変わってきます。
約5社というのは、契約をしたものの一度も仕事を受注したことがない会社もあり、現在も契約が続いているのか不明な会社もあるからです。
小さな翻訳会社ではそういうことも結構あります。
私の場合は、基本的にメインクライアントから8-9割の仕事を頂き、その合間にスケジュールが合えば他の会社からも受注する、という形をとっています。
会社によってや案件の種類によって仕事を選ぶことはしておらず、先着順に受注し、スケジュールが埋まればお断りする形です。
よって、やり取りのある契約先は3社程度です。
何社かとお仕事をしていると、そのうち一社からは継続的に発注をいただけるようになり、その会社の仕事が定期的にくるために他の会社の仕事を受けることができなくなり、自然と淘汰されていきます。
お仕事をあまり受注しなくなった会社とも完全に切れてしまうわけではなく、繁忙期などにはまた依頼がくるので、おそらく忙しいときの「猫の手」のような立ち位置にいるのだろうと思いますし、私にとってもその方が都合がよく、お互いWin-Winの関係になっています。
そして、不思議なのですが、たまたまスケジュールが空いたりすると他の会社から依頼がきたり、メインクライアントが倒産してしまったときには別の会社とご縁ができたりするものなのです。
そのため、複数社と契約することは翻訳者にとって大きなメリットがあります。
フリーランス翻訳者になる方法
フリーランス翻訳者になるには
- 翻訳会社と契約
- 企業と直接契約
- クラウドソーシングサイトに登録
- オンラインサロンに入会
- 翻訳スクールに通う
といった方法があります。一つひとつ詳しく説明します。
翻訳会社に登録
一番オーソドックスな方法と言えると思います。
大手の翻訳会社と契約を結ぶと、契約直後から発注をしてもらえる確率が高く、そこで翻訳者として問題ないと判断されると継続してお仕事が頂けるようになります。
フリーランス翻訳者として安定した収入を得るには一番おすすめの方法です。
大手の翻訳会社であれば案件は豊富にありますので、継続受注のチャンスがあります。
継続して発注してもらえるようになると、着手中の案件が終わらないうちにたいてい次の案件の依頼が頂けるようになり、1~2か月先までスケジュールが埋まる状況が通常になります。
一社ではそこまで受注量がない場合は、複数社から受注することになりますが、一社からと複数社から同じ仕事量を受注できるなら一社から請け負うのがおすすめです。
なぜかというと、会社によってマニュアルや書式が決まっており、複数社とやりとりするとそのたびごとにマニュアルや書式が変わるので、事務作業や確認作業に時間がかかってしまうからです。
また、その会社と契約している企業がある程度固定しているため、受注する案件も類似したものになりやすく、慣れてくると処理スピードが上がってきます。
毎回全く異なった案件を引き受けるよりは、類似した案件を受注するほうが新たなリサーチや訳語選択の時間を短縮できるため作業効率が良くなります。
企業と直接契約
企業との直接契約は翻訳会社よりも単価が高いと言われているため、本来一番おすすめの方法なのですが、個人が企業と契約を結ぶことは非常に難しいです。
もし直接契約できたらラッキーですが、私にはその方法すらわかりません。
クラウドソーシングサイトに登録
これはフリーランスになるための難易度は一番低いです。ただし、これで本業まで結びつけるのは簡単なことではありません。
一般的にクラウドソーシングサイトで提示されている単価は相場よりもずっと低く、趣味程度や副業であれば可能でも、それだけで食べていこうとすると難しいと思います。
副業として翻訳をしたい場合のクラウドソーシングサイトについては下記に詳しく書いています。
オンラインサロンに入会
私がフリーランス翻訳者になった頃にはあまり認知度が高くない方法だったと記憶しておりますが、今はオンラインサロンを経由してフリーランスになる方が増えているようです。
翻訳関係でのオンラインサロンで有名なのはアメリアです。
アメリアは翻訳学校の「フェローアカデミー」が運営している翻訳者ネットワークです。
また、資料請求フォームから資料請求もできますので気になる方はご覧ください。
アメリアは未経験の人にもチャンスがあるのがすごいところです。
できれば翻訳会社の社員などで経験を積んでからフリーランスになることをおすすめしますが「今すぐなりたい!」「とりあえずやってみたい」という方には、こういったサロンに入会するという方法もあります。
ただし、こちらは入会金(5,000円)と年会費(16,500円)がかかります。
ただし、資料請求者の入会特典としてAmazonギフト券5,000円が進呈されるそうなので、資料請求してから入会すれば入会金の実質負担はなくなります。
翻訳スクールに通う
最後に翻訳スクールに通うという方法もあります。翻訳会社が運営する翻訳スクールに通うと卒業後に働くチャンスがある場合もあるようです。
上記オンラインサロン「アメリア」の運営母体となるフェローアカデミー
フェローアカデミーでは、優秀な成績の受講生を講師が推薦してくれ「アメリア」で仕事を受注できるチャンスが広がるようです。
まとめ
このようにフリーランスになるためにはさまざまな方法があります。
- 翻訳会社と契約
- 企業と直接契約
- クラウドソーシングサイトに登録
- オンラインサロンに入会
- 翻訳スクールに通う
ちなみに、翻訳会社との契約と企業との直接契約は基本的に実務経験が必要になるため、前段階として翻訳会社などで翻訳者として勤務する必要があります。
一方、クラウドソーシングサイトやオンラインサロン、翻訳スクールは未経験からでもフリーランスを目指すことができます。
ただし、先に数年実務経験を積んでおくことをおすすめします。
その場合はフリーランスになるまで数年がかりの計画になってしまいますが、実務経験で学んだことは一生ものですし、翻訳案件の流れを知ることはフリーランスになってからも役に立ちます。
また、実務経験自体が翻訳者の実績に厚みを持たせてくれ、契約先から信用を得やすいということにもつながります。
もしどうしても今すぐフリーランスにならなければならない、もしくは通勤範囲に翻訳会社がないといった事情がある場合を除いて、できることなら数年の経験を積まれてから挑戦することをおすすめします。